黄土高原水土保全林地の土壌水分動態に関する研究

  • 張 建軍
    北京林業大学水土保持学院:日本学術振興会(JSPS):森林総合研究所水土保全研究領域
  • 清水 晃
    森林総合研究所水土保全研究領域

書誌事項

タイトル別名
  • Study on soil moisture variation in forests for soil and water conservation in the China Loess Plateau
  • オウド コウゲンスイド ホゼン リンチ ノ ドジョウ スイブン ドウタイ ニ カンスル ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

黄土高原における水土保全林地の土壌水分変化特性を明らかにするため,黄土高原地域で高く評価された植林地帯(年間降水量が400〜600mm)を選んでその土壌水分を測定した。測定結果から黄土高原の土壌水分動態は消耗期,増加期,減少期,安定期に分けられた。年間を通じて雑草地と灌木林地の土壌水分は林地より20mm以上多かった。各プロットの月平均土壌水分量が圃場容水量の60%以下の時期は,南向き林地と北向き混交林地で4〜10月,北向きの灌木林地・林地及び雑草地では6〜7月であった。谷底の土壌水分は一年中圃場容水量の60%以上になっていた。年間を通じて土壌水分量が圃場容水量の60%以上の土層は南向き林地で0〜20cm,北向き林地で0〜40cm,混交林地で0〜20cm,灌木林地と雑草地・谷底で0〜100cmであった。土壌水分量が圃場容水量の60%以下になる発生率が最も高いのは80〜100cmの土層であった。その発生率はアブラマツ林地88〜94%,ニセアカシア林地78〜95%,灌木林地50〜58%,雑草地23〜41%,混交林地96%となっていた。この結果から,黄土高原地域に植林する場合には,谷間への植栽が成林可能性において有利と思われた。また,樹種については土壌水分に対する要求度の低い植生を選定する必要があると考えられた。特にフデンズのように樹高が低く,天然更新可能な灌木林を形成すれば,水土流出を防止すると同時に土壌水分の消費も少ない林分が形成可能と推察された。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 46 (2), 85-92, 2004

    森林立地学会

参考文献 (22)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ