上腕に小型の皮疹を生じたFonsecaea pedrosoiによるクロモミコーシスの1例:症例報告及び本邦における黒色真菌感染症報告例のまとめ

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Chromomycosis Caused by Fonsecaea pedrosoi Presenting as a Small Plaque on the Left Upper Arm: a Review of Reported Cases of Dematiaceous Fungal Infection in Japan
  • ジョウ ワン ニ コガタ ノ ヒシン オ ショウジタ Fonsecaea pedrosoi ニ ヨル クロモミコーシス ノ 1レイ : ショウレイ ホウコク オヨビ ホンポウ ニ オケル コクショク シンキン カンセンショウ ホウコクレイ ノ マトメ

この論文をさがす

抄録

67歳女性の左上腕に生じたクロモミコーシスの1例を報告した. 皮疹は直径1.5cm大の紅斑・鱗屑を伴う小さい紅斑・浸潤局面病巣であった. 原因菌はFonsecaea pedrosoi と同定した. 特記すべきこととして, 従来形成されることはまれといわれていたPhialophora 型の分生子が多数認められた. 治療は, 病巣辺縁より5mm離して全切除し, 縫合した. 術後3年になるが再発はない. 本邦においては, 1955年から1981年までにFukushiroにより296例, 1982年から2004年までに我々の集計で240例, 計536例の黒色真菌感染症が報告されている. 原因菌は, 我々の集計ではF. pedrosoi が最多で (137例, 57.1%) , ついでExophiala (E.) jeanselmei (41例, 17.1%), others (16例, 6.7%), Phialophora (P.) verrucosa (9例, 3.8%) E. dermatitidis (4例, 1.7%) の順であった. Fukushiroの統計と比べてみると, 近年E. jeanselmei の増加傾向がみられた. 罹患部位では, 我々の集計では上肢91例 (38.7%) 頭頸部42例 (17.9%) , 臀部41例 (17.4%) , 下肢33例 (14%) , 躯幹23例 (9.8%) の順で, Fukushiroの統計と比べてみると, 下肢が減少し, 臀部が増加する傾向であった. 治療としては, 経口抗真菌薬, 切除, 温熱療法が, 単独あるいは組み合わせて行われていた.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ