世帯を対象とした二酸化炭素の排出量取引施策の導入可能性分析

書誌事項

タイトル別名
  • Feasibility Study on Introduction of CO2 Emission Trading System between Households
  • セタイ オ タイショウ ト シタ 2サンカタンソ ノ ハイシュツリョウ トリヒキ シサク ノ ドウニュウ カノウセイ ブンセキ
  • Feasibility Study on Introduction of CO2 Emissions Trading System between Households

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説明

本研究は、地球温暖化の防止に向けた住民の意識を向上させるとともに、行動を促すことを意図した施策を提案し、その導入可能性を検討することを目的としている。本研究で提案する施策は、二酸化炭素の排出量取引を世帯に導入するという新たな施策である。そして、この施策に対する住民の意識を把握するためにアンケート調査を実施し、その結果を用いて排出量取引施策の導入可能性について計量的分析を行った。上記の目的を達成するために、本研究では、まず、本研究で提案する排出量取引施策について説明した。次に、徳島県を対象として、世帯に対してアンケート調査を実施し、その結果を用いて排出量取引施策における取引金額と受入率の関係を推定した。そして、最後に、推定された関係式を利用することにより本施策の導入可能性を検討した。その結果、以下に示すような成果を得ることができた。(1)まず、地球温暖化の解決への経済的手法の1つとして、二酸化炭素の排出量取引施策があるが、個人の環境に対する意識の向上と行動の抑制に貢献が期待できる世帯を対象とした排出量取引施策を提案した。(2)本施策の導入可能性を分析するにあたり、住民に対してアンケート調査を行った。その結果、約6割の人が排出量取引施策の導入に賛成との回答があり、排出量の削減に前向きであることから、実施に向けての検討の必要性は十分にあると考えられる。また、本施策を導入する場合の基準値は、家庭の様々な条件を加味しなければ基準値の決定は難しいことがわかった。(3)排出量取引施策における取引金額と受入率との関係を明らかにするために、単位あたりの平均受入率を推定した。その結果、女性より男性の方が高額のメリットを望まないことや、平均的に 50歳未満の人が、50歳以上の人より受入率が高いことがわかった。(4)本施策の導入の可能性について、基準を上回った場合の支払金額と下回った場合の報償金額について、提示金額に対する受入率を通して分析したところ、約100円/kg - CO 2/年のときに上回る場合と下回る場合の受入率がほぼ同じになることがわかった。本研究で得られた値は、市場取引において価格の変動が大きくなる場合や全世帯が基準値を下回った場合など、様々な問題に対して目安として活用できると考える。本研究では、提案した排出量取引施策を導入することは、地球温暖化を含めたすべての環境保全活動につながり、また、そういった環境に対する意識を住民も持っていることがわかった。また、本研究で行ったアンケート調査において回収率の低さが問題点の1つとしてあげられるが、この問題が分析にどのような影響を及ぼすかについては今後の検討課題である。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 38.3 (0), 1-6, 2003

    公益社団法人 日本都市計画学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (4)*注記

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