福島第一原子力発電所事故後の福島市大波地区における除染の経緯と住民意識

書誌事項

タイトル別名
  • The Process of Decontamination and Residents' Consciousness about Decontamination in Onami District of Fukushima City after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident
  • Issues of Decontamination and Revitalization of Fukushima Prefecture
  • 今後の福島の除染と復興のあり方を検討する上での論点の提起

抄録

本研究は、福島原発事故後における除染のトップランナーたる福島市大波地区での除染の経緯と線量低減効果、除染に関する住民意識を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、大波地区ではほぼ全ての住宅の除染が終了しているが、第一に、手付かずになっている周囲の森林や農地から放射線が飛んできていることなどから、住宅除染によって除染の実施基準とされている空間線量率0.23µSv/hを下回る結果を得ることはできなかったこと、第二に、多くの住民は除染の実施を肯定的に評価しているものの、多くの在住者は不安を抱えたまま日常生活を送っており、経済的理由から避難・移住できない場合が少なからず存在する、また、放射能汚染を理由として帰還できない・したくないと考えている避難・移住者が少なからず存在する、そして、多くの住民は継続的な除染の実施と損害賠償の徹底、避難・移住者については特に避難・移住生活の支援を希望していることが明らかになった。最後に、今後の福島の除染と復興のあり方を検討する上での論点として、除染の位置づけに関する見直しの必要性と多様な生活設計の実現を支援する制度の創設・充実の必要性を提起した。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 48 (3), 705-710, 2013

    公益社団法人 日本都市計画学会

被引用文献 (1)*注記

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