地域遺産の選定と特徴に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on Selection of Local Heritages and its Characteristics

抄録

近年、文化財の枠組みは拡大を続けると共にその活用にも焦点が当てられている。一方で、全国統一的な遺産以外にも、各地域において文化財保護法で定められた種類の文化財だけでなく、より現代的、または生活に密接に関わるものも含めて選定し、観光振興や保全によって地域活性化を図る取り組みが広がっている。そこで本研究では「地域遺産」を一定の地域範囲内にある資源の中から選定された資源(群)とし、32の地域を対象として、地域遺産の設定、目的・基準、成立経緯及び活用の現状と課題を考察した。その結果、(1)地域遺産は文化財の枠組みよりも選定の幅が広く、選定基準では客観的なものよりも、愛着や地域らしさの継承が重視されていること、(2)選定団体は選定の目的と基準によって3つに分類でき、「主観的遺産探求型」は地域遺産の新たな形となりうること、(3)事例調査から、地域遺産を地域に新たな評価や刺激をもたらすものと捉える場合、選定基準を寛容にし自薦を推奨することで、多様な観点から遺産候補が推薦され、また選定に向けて地域で意見を交わすことで地域遺産に取り組む意義が深まり、共有されると推察されること、が明らかとなった。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 52 (3), 731-738, 2017-10-25

    公益社団法人 日本都市計画学会

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