シダの配偶体におけるTTCおよびヤヌス緑の還元<極性との関係について>

書誌事項

タイトル別名
  • Reduction of TTC and Janus Green B in Fern Gametophytes in Relation to Polarity
  • シダの配偶体におけるTTCおよびヤヌス緑の還元 極性との関係について〔英文〕
  • シダ ノ ハイグウタイ ニ オケル TTC オヨビ ヤヌスミドリ ノ カンゲン キョクセイ ト ノ カンケイ ニ ツイテ エイブン

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抄録

シダの配偶体におけるTTCおよびヤヌス緑の還元 <極性との関係について><br>モエジマシダ(Pteris vittata),イタチシダ(Dryopteris varia)およびミズワラビ(Ceratopteris thalictroides)の若い配偶体についてTTCおよびヤヌス緑Bを用いてク酸脱水素酵素を検出し,つぎ の結果を得た.<br>(1)TTCまたはヤヌス緑の還元はモエジマシダでは原糸体の先端からわずかに遠のいた部域でもっと も著しい.しかしイタチシダでは原糸体全体にわたって一様に,またミズワラビではとくに基部にこれが 著二しい.<br>(2)還元はコハク酸塩で促進され,マロン酸塩で阻害される.還元の最適条件は30。,pH7.0~7.5であ る.還元力はアルコール固定後にも保存されるが,煮沸によって失われる.これらの事実はこのTTCとヤ ヌス緑の還元とがコハク酸脱水素酵素にもとつくことを示している.<br>(3)還元力は通常は脂肪球のまわりで最も大きい.しかしアルコールで脂肪を除去しても還元力はのこ. る。したがってこの脱水素酵素は脂肪球と結合して脂肪一コハク酸脱水素酵素系を構成しているとみられる.<br>(4)モエジマシダでは原糸体に分岐がおこるときにもコハク酸脱水素酵素の本来の位置は不変に保たれ る.この酵素を脂肪球とともに遠心力で移動させても発生の極性軸は変わらない.

収録刊行物

  • 植物学雑誌

    植物学雑誌 77 (912), 222-227, 1964

    公益社団法人 日本植物学会

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