ミゾソバ <i>Polygonum thunbergii</i> の一山地型の光周反応

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タイトル別名
  • Photoperiodic Response of a Mountain Form of <i>Polygonum thunbergii</i>
  • Photoperiodic Response of a Mountain Form of Polygonum thunbergii

抄録

ミゾソバ (短日性一年生草本) の山地型が三重県北部, 藤原山の標高700-900mの高所に産する. 分類 学的にはオオミゾソバ var. stolniferum Makino にあたるが, この変種を認めない分類学者もあるので 藤原山型と名付けて取扱った. この植物に (1) 津市の自然条件下における開花期及びその限界暗期の長さ を求める, (2) 9種類の短日処理を与えて反応を検する, (3) 明期が13,14,15,24時間の日周サイクルにな がく置いて開花を検するなどの実験を施したが, 結果はかなり敏感な短日植物であること 示した. また これを日本の各地産のミゾソバと比較した. ミゾソバは北方産のものほど催花の限界暗期が短く, 短日 処理に敏感に反応し, 南方産はこれに反し, 光周的感受性は緯度の高低に従って変化していることはすでに 報じたが, 351/6°N. に産する藤原山型をこの系列中に置いてみると仙台産ミゾソバ (391/4°N.) に最も近 い. 標高の高い山地は生育期間が短い点で高緯度地と同じであるが, 藤原山型が催花の限界暗期が短く季節 的に早く開花するのは, この生活環境に適応的である. 藤原山型は初夏に一度開花•結実する. これは北海 道•青森など北方産ミゾソバにもみられる. またストロン生をじ閉鎖花をつけ地中で結実する. ストロンの 形成は短日処理により促進された. これらの開花習性も同様に適応的である. ミゾソバでは短い生活期間内 に開花•結実する性質が発達して北方及び高地への分布を可能にしたと考えられる.

収録刊行物

  • 植物学雑誌

    植物学雑誌 82 (971), 183-190, 1969

    公益社団法人 日本植物学会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679200271872
  • NII論文ID
    130004213145
  • DOI
    10.15281/jplantres1887.82.183
  • ISSN
    21853835
    0006808X
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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