OCTの見方

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  • An outline of OCT imaging

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Optical Coherence Tomography(光干渉断層計、OCT)は新しく開発された画像診断装置である。従来、ふつうに眼底所見といえば例えば眼底カメラに代表されるような平面的な認識であり、病理組織学の教科書で理解を助けていた。所見の成り立ちは病変の位置・組織構造で決まることから、 臨床の場では細隙灯顕微鏡検査や造影検査を通して立体イメージを組み立てる必要があった。1990年代半ばOCTが実用になり、生体での組織構造が客観的に評価できるようになった。OCTにより、眼科領域では生体眼の前眼部及び硝子体・網膜の断面画像をいわば「生体組織学」として非侵襲で得ることができる。その後、進化した干渉測定テクノロジーは高感度・高分解能・高速検出を可能にし、3D画像と共に臨床の場で大きな位置を占め、多くの眼底疾患の病態の解釈に貢献しているほか、網膜厚や神経線維厚の計測では疾患進行や治療効果の判定に有用である。<BR> OCTは光を用いているが、従来からの超音波を用いた画像診断の原理 と類似する部分がある。このため、光の吸収、透過、反射、散乱などが画像を得る上で重要な意味を持つことになる。たとえば、血液、色素等では 光は吸収される。吸収されずに透過した光はさらに深層の組織で相互作用を起こす。異質な物体の境界部においても、強い反射を起こす。得られたOCT画像は、カラースケールにより反射の強弱が表現される。白色がもっとも高反射を表わし、赤、黄、緑、青の順に反射は弱くなる。網膜の各層状組織はおおよそ神経線維層と内外網状層は高反射、細胞体と核(神経節細胞層と内外顆粒層)は低反射に描出される。また、解像度が良くなるにつれ外境界膜ラインが明瞭になっている。さらに視細胞+網膜色素上皮層の部分が複数の高反射ラインとして観察される。<BR> 今回はこのようなOCT画像と対比する眼底構造を確認し、いくつかの黄斑病変を提示する。また診断や治療の指標として網膜厚にふれる。

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