Bielschowsky頭部傾斜試験にて非傾斜側眼が上転した先天下直筋欠損の1例

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  • A Case of Aplasia of the Inferior Rectus Muscle With an Atypical Bielschowsky's Head Tilt Test Result

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緒言:Bielschowsky頭部傾斜試験は、斜頚のみられる患者の首を反対側に傾斜させたとき、傾斜側眼の上転がみられれば、傾斜側眼の上斜筋麻痺と診断できる有用な方法である。今回、われわれは、斜頚を主訴に来院し、当初、左の上斜筋麻痺を疑ったが、Bielschowsky頭部傾斜試験で、非傾斜側眼の上転がみられ、非傾斜側眼の下直筋の欠損を認めた症例を経験したので報告する。<BR>症例:10ヶ月、男児。頭位異常を主訴に近医受診、眼筋麻痺を疑われ、当院紹介受診となった。初診時視力測定不可。調節麻痺薬点眼後、屈折は右+2.0D=cyl -1.0D Ax 180、左+1.5D =cyl -0.75DAx 180であった。頭位は右への斜頸を呈していた。眼球運動は評価困難であったが、明らかな運動制限はなく、眼振もみられなかった。左に斜頸させると、右上斜視が増加した。前眼部・中間透光体、眼底に異常は認めなかった。頭部・眼窩部MRIを施行し、右下直筋欠損・左下直筋低形成を認めた。右眼水平筋下方移動術を施行し、術中に右下直筋欠損を確認した。術後、眼位は正面視にてほぼ正位となり、斜頸も著明に改善した。3歳時に再施行した調節麻痺薬点眼後、視力、屈折は右0.3x+4.0D=cyl -3.0D Ax180、左1.0x+1.0D と初診時からの屈折の変化と右眼弱視を認めたため、眼鏡処方と健眼遮閉を行い、18ヵ月後に右眼視力1.2を得た。<BR>考察:Bielschowsky頭位斜頸試験にて非傾斜側眼の上転がみられた場合、下直筋欠損を考慮しなければならないと考えた。また、水平筋移動術後に乱視が惹起される可能性があるため、屈折の経過観察も重要であると考えた。

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