微小菌類と生物地理学(第1部 基礎分野-分布・適応・多様性-,土壌微生物研究のパラダイム,シンポジウム)

書誌事項

タイトル別名
  • Microfungi and biogeography(Paradigm of soil microbiological research,Symposium)
  • 微小菌類と生物地理学
  • ビショウ キンルイ ト セイブツ チリガク

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抄録

菌類の地理的分布研究は微生物の特微に起因する諸問題によって大形の生物に関する研究に比較して大幅に遅れている。最近の分子生物学的手法の発達は地史的拡散や気候変遷と菌類の拡散に関する分野の研究を容易にする可能性を秘めている。また,地球環境変化に伴う気候変動による生物の移動に関する情報の必要性から菌類の分布研究の必要性が認識されてきた。腐生性微小菌類を対象に地理的分布調査を行う場合に考慮すべき事項として基質と菌類の関係を検討した。また,菌類の生活史戦略と基質上の寿命について考察した。気候との関連を研究するためには異なる地域に分布する同種で同じ分解段階の基質上における菌類群集の比較が理想であることを示した。本邦のマツ落葉生息菌の例を示し,同一基質上では試料採集地点の年平均気温が菌の出現頻度や住み着き率に強い影響を及ぼすことを示した。また,腐生菌類の示す基質供給源植物種に対する嗜好性と地理的分布の問題について考察した。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 54 (2), 93-102, 2000

    日本土壌微生物学会

参考文献 (24)*注記

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