農耕地土壌における細菌,真核生物および古細菌のrDNA存在比の推定 : 古細菌rDNA存在比に及ぼす土壌環境要因の解析

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タイトル別名
  • Estimation of rDNA abundance of Bacteria, Eukarya and Archaea in agricultural soils : Soil factors affecing the abundance of archaeal rDNA
  • ノウコウチ ドジョウ ニ オケル サイキン,シンカク セイブツ オヨビ コ サイキン ノ rDNA ソンザイヒ ノ スイテイ : コ サイキン rDNA ソンザイヒ ニ オヨボス ドジョウ カンキョウ ヨウイン ノ カイセキ

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抄録

難培養の微生物が大半を占める土壌において,rDNAの多様性を調べる研究は盛んに行われているが,3つの生物ドメインのrDNAがどのような割合で存在するのかという情報は不足している。水田,畑地,林地を含む農耕地土壌の3つの生物ドメインのrDNAの存在比をドットブロットハイブリダイゼーション法で調査したところ,およそ90%が細菌由来,5%前後が真核生物由来,数%が古細菌由来と推定され,農耕地の植生や管理法にかかわらず,農耕地土壌から検出されるrDNAの大半は細菌に由来することが明らかとなった。さらに,存在割合は少ないものの土壌における物質循環に重要な役割を演じるメタン生成菌やアンモニア酸化菌を含み,培養が難しくその生態が未解明な古細菌ドメインについて,そのrDNAの存在比に影響を及ぼす土壌要因を解析した。その結果,土壌pHと最も高い相関が認められ,水田以外の土壌ではpHが高いほど古細菌rDNAの存在比が増加し,逆に水田土壌ではpHが低いほど増加した。また古細菌rDNAコピー数は,土壌有機物の多い林地や有機物施用畑では有機物の少ない土壌と比べて,単位土壌あたりの増加が認められたが,そのような土壌では,生物全体に占める古細菌rDNAの存在比は低下する傾向があった。すなわち真核生物や細菌同様,古細菌も栄養分の多い土壌ではその数が増加するものの,栄養分の多い環境では,他の生物との競合に弱いことが示唆された。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 66 (2), 63-69, 2012

    日本土壌微生物学会

参考文献 (36)*注記

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