琵琶湖周辺の花こう岩質岩体 ―その6.野洲花こう岩体

書誌事項

タイトル別名
  • Granitic masses around Lake Biwa, southwest Japan : Part 6. The Yasu Granite pluton
  • ビワコ シュウヘン ノ カコウガンシツ ガンタイ ソノ 6 ヤス カコウガンタイ

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説明

琵琶湖南部周辺には,山陽帯に属する後期白亜紀花こう岩質岩体が環状に分布している.野洲花こう岩体(10×7km)は,それらの環状花こう岩体の内側に位置し,美濃-丹波帯のジュラ紀付加コンプレックス中に定置している.野洲花こう岩体は,粒度と組織から,粗粒岩相,中粒岩相(等粒状〜中粒斑状)および細粒岩相(等粒状〜細粒斑状)の3つに区分され,それらの岩相はすべて漸移関係にある.大部分は黒雲母花こう岩であるが,粗粒岩相と細粒岩相の一部に角閃石が含まれる.花こう斑岩の岩脈は2ヵ所で確認されたが,いずれも細粒岩相に貫入する小規模なものである.野洲花こう岩体の岩相変化は,マグマにおける異なる結晶・冷却過程を反映している.すなわち,細粒岩相は,急速な脱ガスによってソリダスが高温側に移動したために形成されたと考えられる.一方,粗粒岩相は,マグマ溜まり上部が固結した状態で長期間にわたって高温状態に置かれたため,揮発性成分や熱水を伴ったメルトとの反応が十分に進み,再平衡に達して形成されたと考えられる.中粒岩相は,これらの中間の条件下で形成された.野洲花こう岩体は,琵琶湖コールドロンの形成と関係したと考えられる環状花こう岩体の内側に位置しており,環状岩体には属さないが,主要・微量元素全岩化学組成上は,環状花こう岩体と極めてよく似ている.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 59 (2), 89-102, 2005

    地学団体研究会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (29)*注記

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