足柄層群に産出する低カリ質火山岩類と南部フォッサマグナ地域の火山岩のK2O分帯について

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タイトル別名
  • Low-K2O volcanic rocks in the Ashigara Group and the zoning of K2O content of the post-Miocene volcanic rocks in the southern Fossa Magna region, central Japan
  • アシガラソウグン ニ サンシュツ スル テイカリシツ カザンガンルイ ト ナンブ フォッサマグナ チイキ ノ カザンガン ノ K2O ブンタイ ニ ツイテ

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抄録

足柄層群は,6つの累層で構成される.各累層には玄武岩質〜安山岩質の噴出岩類が挟在される.噴出岩類は,都夫良野累層に多くみられる.足柄層群を貫く岩脈のうち,山北層群形成以前のものは,輝石玄武岩〜安山岩質であり,山北層群形成後のものは,角閃石安山岩質である.矢倉岳石英閃緑岩体は足柄層群の畑沢累層に貫入している.足柄層群の噴出岩類は,いわゆる紫蘇輝石質岩系に属し,その主化学組成は箱根火山の火山岩類のものと比較して,Al_2O_3がやや多いほかはよく似た値を示しており,島弧性の火山岩であると考えられる.足柄層群の火山岩類,矢倉岳石英閃緑岩は,Kuno (1966)の低アルカリソレアイト,Gill (1981)の低カリ質安山岩〜玄武岩に分類される.なおこれらの中には紫蘇輝石質岩系に属するが,斜長石斑晶が多いためMiyashiro (1974)の図ではTH岩系に入るものがみられる.足柄層群を含む南部フォッサマグナ地域および伊豆半島・伊豆諸島に分布する鮮新世〜更新世の火山岩類の示すK_2O量の変異をK_2O-SiO_2図に示して比較した結果,一部中〜低K_2Oと高K_2Oが共存する例があるものの大局的には東から西側にかけて低K_2O帯-中間K_2O帯-高K_2O帯の順に配列していることがわかった.これらの分帯は南部フォッサマグナ地域でグリーンタフ変動以降形成された基盤岩の示す南北方向の地質構造と関係があると考えられる.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 56 (3), 165-177, 2002

    地学団体研究会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (52)*注記

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