古第三紀凝灰岩層の識別における記載岩石学的検討の有効性 ―兵庫県三田盆地に分布する異なった2層準の神戸層群凝灰岩層での例―

書誌事項

タイトル別名
  • Effectiveness of petrographical analysis for discrimination of the Paleogene tuff layers ―Example from two different tuff layers of the Kobe Group in the Sanda Basin, Hyogo Prefecture, Japan―
  • コ ダイ3キ ギョウカイガンソウ ノ シキベツ ニ オケル キサイ ガンセキガクテキ ケントウ ノ ユウコウセイ ヒョウゴケンサンダ ボンチ ニ ブンプ スル コトナッタ 2ソウ ジュン ノ コウベソウグン ギョウカイガンソウ デ ノ レイ

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説明

本論は,古第三紀神戸層群凝灰岩層の識別に対する記載岩石学的検討の有効性を議論するために,兵庫県吉川町奥谷東部と楠原南部の神戸層群凝灰岩層の層序の確立,上久米凝灰岩層軽石粗粒凝灰岩とその上位の楠原凝灰岩層軽石火山礫凝灰岩について岩石記載,軽石・構成鉱物の主成分分析を行った.また,再堆積時に混入した結晶片の特徴を確認するために吉川町金会で上久米凝灰岩層砂質凝灰岩を採取し,岩石記載,構成鉱物や岩片の黒雲母の主成分分析も行った.上久米凝灰岩層と楠原凝灰岩層は,軽石の斑晶鉱物として石英,斜長石,カリ長石,黒雲母,ジルコン,不透明鉱物を含むが,燐灰石は後者のみに含まれる.軽石斑晶黒雲母の化学組成は,両凝灰岩層間で明瞭な相違がある.したがって,軽石の記載岩石学的検討は上久米凝灰岩層と楠原凝灰岩層の識別に有効な指標となる可能性がある.上久米凝灰岩層と楠原凝灰岩層の基質には,砂質凝灰岩の斑状花崗岩片や山陰帯花崗岩類の黒雲母と同様な化学組成の黒雲母も存在し,本質物質に富む凝灰岩でも花崗岩類由来の砕屑性黒雲母などが混入している可能性が窺える.上久米凝灰岩層と楠原凝灰岩層の軽石斑晶黒雲母の化学組成は,田万川コールドロン形成岩類に代表される山陰の古第三紀火山深成複合岩体の黒雲母の化学組成と類似するが,上久米凝灰岩層の軽石斑晶黒雲母の化学組成は,中新世二上層群寺山デイサイト中の新鮮な黒雲母のものとも似る.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 55 (3), 157-171, 2001

    地学団体研究会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (23)*注記

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