高血圧症・肺高血圧症におけるRho・Rhoキナーゼ系の役割

書誌事項

タイトル別名
  • Roles of Rho/Rho-kinase signaling in hypertension and pulmonary hypertension
  • コウケツアツショウ ハイ コウケツアツショウ ニ オケル Rho Rho キナーゼケイ ノ ヤクワリ

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説明

平滑筋におけるRho/Rhoキナーゼ系の活性化はミオシンホスファターゼ(MP)の阻害を介して筋収縮におけるCa2+感受性を亢進させる.L-NAME負荷高血圧ラットにおいて,Rhoキナーゼ阻害薬Y-27632の経口投与は,著明な降圧を引き起こし,この高血圧モデルにおいてRhoキナーゼの活性化が示唆された.このRhoキナーゼ活性化のメカニズムは,RhoAの活性化によると考えられ,Rhoキナーゼ関連分子の発現には変化がみられなかった.同様の現象はSHRSP(脳卒中易発症高血圧ラット),腎性高血圧ラット,DOCA食塩負荷ラットでも観察され,Rho/Rhoキナーゼ系が高血圧における重要なシグナル分子であると考えられる.ヒト肺高血圧症においてRhoキナーゼ阻害薬ファスジルの経静脈的投与が,有意に全肺血管抵抗や平均肺動脈圧を低下させたことから,Rhoキナーゼの活性化はその病態に深く関与することが示唆される.これらの結果はRho/Rhoキナーゼ系が高血圧や肺高血圧症において重要な役割を果たしていることを示しており,その阻害薬は新しい治療のストラテジーとなる可能性がある.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 133 (3), 134-138, 2009

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (44)*注記

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