新規血管新生阻害薬E7080の抗腫瘍効果

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タイトル別名
  • Anti-tumor effect of E7080, a novel angiogenesis inhibitor
  • シンキ ケッカン シンセイ ソガイヤク E7080 ノ コウシュヨウ コウカ

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抄録

VEGFあるいはVEGF受容体を阻害し,がんの血管新生を抑制する抗がん薬の開発が進んでいる.E7080は強力なマルチキナーゼ阻害作用を有し,血管新生に重要なVEGFおよびFGF,PDGF,SCFの受容体に選択性が高いことを特徴とする化合物である.ヒトがん細胞株を移植したヌードマウスの検討では,肝がん,肺がん,大腸がん,乳がんなどのモデルにおいて優れた抗腫瘍効果が,マウス大腸がん株同所移植モデルでは延命効果が明らかにされている.また,肺がんモデルにてプラチナ製剤と併用することで,腫瘍縮小効果の相乗的な増強が認められている.一方,マウス浮遊内皮細胞は,E7080投与により血液中の数が顕著に変動することから,血管への作用を検証する新たなバイオマーカーになると思われる.近年の研究で,腫瘍内血管の構造と,がんの悪性度や血管新生阻害薬の有効性との関連が明らかにされつつある.浮遊内皮細胞や腫瘍内血管研究の,臨床での新たな展開に期待したい.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 132 (2), 100-104, 2008

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (21)*注記

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