不全心におけるエネルギー利用

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  • Energy utility of failing heart.
  • フゼンシン ニ オケル エネルギー リヨウ

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自然発症II型糖尿病(DM)と,甲状腺機能低下症における慢性不全心モデルと高濃度Ca2+冠状動脈注入によるCa2+過負荷急性不全心,および虚血再灌流傷害による急性不全心モデルに対して,血液交叉灌流摘出心標本を用いて心力学的·エネルギー学的検討を行った.DM不全心では弛緩速度が有意に遅く,1分間当たりの興奮収縮連関における総Ca2+ハンドリングに要する心筋酸素消費量が有意に減少していた.また甲状腺機能低下症不全心においては,収縮機能·拡張機能ともに低下していた.1心拍当たりの興奮収縮連関における総Ca2+ハンドリングに要する心筋酸素消費量(VO2)が有意に減少していた.また,DM,甲状腺機能低下症不全心では筋小胞体のCa2+ ATPase(SERCA2)タンパクの発現量が減少していた.高濃度Ca2+冠状動脈注入によるCa2+過負荷不全心,虚血再灌流不全心では収縮機能の低下とVO2-収縮期圧容積面積(PVA)直線関係のVO2切片の低下がみられた.このことは,1心拍当たりの興奮収縮連関における総Ca2+ハンドリングに要するVO2が有意に減少していることを示す.またカルパインの活性化により細胞骨格タンパクであるα-フォドリンが分解され,収縮機能不全が起こった.カルパイン阻害薬により収縮機能不全とα-フォドリン分解が抑制された.急性および慢性不全心における総Ca2+ハンドリングVO2の低下は,主にSERCA2の発現低下とカルパインの活性化による膜タンパクα-フォドリンの分解によって生じたCa2+ハンドリング障害に起因していると考えられる.<br>

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