Role of the Rho-kinase pathway in pulmonary arterial hypertension

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  • 『次世代治療 Rhoキナーゼ阻害薬』 肺動脈性肺高血圧症におけるRhoキナーゼ経路の役割
  • ジセダイ チリョウ Rho キナーゼ ソガイヤク : ハイ ドウミャクセイ ハイ コウケツアツショウ ニ オケル Rho キナーゼ ケイロ ノ ヤクワリ

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Abstract

肺動脈性肺高血圧症の成因には器質的肺動脈病変および肺動脈攣縮が大きく関与しており,進行性の肺血管抵抗上昇および肺動脈圧上昇が特徴で,近年様々な薬剤が開発されてきたものの,いまだに予後不良な疾患である.我々はこれまで下川らとともに,肺高血圧症の動物モデルにおいて,Rhoキナーゼ阻害薬であるファスジルの慢性投与が肺動脈圧を低下させ,さらに右室肥大を退縮させること,組織学的にも肺動脈平滑筋増殖,マクロファージ浸潤抑制および肺動脈平滑筋のアポトーシス亢進による形態学的改善効果を有し,生命予後を著明に改善させ,圧負荷モデルにおいてもRhoキナーゼ抑制が右室肥大を退縮させることを明らかにしてきた.また臨床研究においても,ファスジルの点滴静脈内投与や経気道的吸入投与が肺動脈性肺高血圧症患者の肺血行動態を改善させる急性効果を有することを示した.さらに,肺動脈性肺高血圧症患者において,血中レベルでRhoキナーゼ活性が亢進していること,肺組織レベルでもRhoキナーゼ発現および活性の亢進していること,摘出肺動脈血管を用いた検討で,肺動脈性肺高血圧症患者では内皮依存性弛緩反応が有意に障害され,セロトニン誘発性過収縮が有意に亢進しており,これらの異常反応がRhoキナーゼ阻害薬で抑制されることを示した.以上より,Rhoキナーゼは肺動脈性肺高血圧症の治療標的となる可能性が示唆された.これらの知見を基に,肺動脈性肺高血圧症患者に対して,ファスジル経口薬の有効性を検討した.対象は肺動脈性肺高血圧症20名(ファルジル9名,プラセボ11名).3ヵ月間の投薬を行った結果,ファスジル群において,治療前後で心係数が増加した割合が有意に高く,ファスジル経口薬の有効性が示唆された.今後,大規模での臨床試験によりその有効性が示され,新たな治療法として開発されることが期待される.

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