書誌事項
- タイトル別名
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- Actual Survey of Cold Damage of Tea Field in the Winter 1977
- 1977年寒害における茶園の被害と対策の実態(資料)
- 1977ネン カンガイ ニ オケル チャエン ノ ヒガイ ト タイサク ノ ジ
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抄録
1976年12月下旬~'77年3月上旬にかけて,日本列島は数回にわたる寒波に襲われ,日最低気温の旬別値が-7~-9℃までも低下した地域がかなりあり,加えて最も低温を記録した2月中旬には,10日以上にわたて無降水が続いた地方が多かったので,全国の茶園は凍害(赤枯れ)のみならず寒干害(青枯れ)が発生し,総額30億円に達する被害を受けた。<BR>茶園の場合,近くは,74年寒害など,とぎとしてかなり広範囲に被害を受けた経験があるが,今回はこれまでほとんど寒害を受けたことのない佐賀,長崎県まで,枝条の枯死を招くような激しい寒害に見舞われ,ほぼ全国茶産地全体にまたがる広範囲な気象災害となった。<BR>このような記録的な低温による寒害発生や防止対策等の実状について,全国23の茶業関係試験研究機関に実態調査を依頼しこれを集約した。その結果茶園の寒害発生は立地,栽培条件によってその程度に差はみられるものの,'74年寒害の実態と比較すると,今回のほうがより低温の度合が強いこともあって,一般にこれら条件の違いによる被害差は,少ない傾向を示している。<BR>また今回とられた防止対策は,'74年寒害でもみられたように被覆,防風,マルチ等種々の対策が試みられたが,今回の寒害に際して実施例が比較的増加しつつある方法は,防風と蒸散抑制剤の散布であろう。すなわち防風対策については,従来からのヒノキ,スギその他林木の植栽による防風林の設置から,ほ場周辺部のペチベル,ほ場内うね間でのソルゴー,オカボの栽培など,草本性作物による濃密な間隔の防風対策が増えつつある。また蒸散抑制剤の散布も,'74年寒害当時と比較すると実施例が増加しているが,これによる寒害防止効果も決定的なものでなく,現状では他の方法との併用を考慮すべきであろう。<BR>さらに被害後の処置として,整せん枝の方法が常に問題になるが,'74年寒害の場合には一番茶の生産量や品質の低下を防ぐ処置として,多くの場合整せん枝の時期は遅いほうが良く,3月中~下旬あるいは一番茶後のほうが良いとされた。しかし今回の寒害のように,被害が樹冠面以下の技条の枯死にまで及ぶような場合は,当面の一番茶をあてにしない中切り,台切りといった従来にない強い更新を,3月中~下旬に行う必要があろうとされている。
収録刊行物
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- 茶業研究報告
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茶業研究報告 1978 (48), 79-112, 1978-09-30
Japanese Society of Tea Science and Technology
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679251897728
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- NII論文ID
- 130000739578
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- NII書誌ID
- AN00143344
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- NDL書誌ID
- 2033720
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- ISSN
- 03666190
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可