『慢性炎症と胃がん発生』 炎症性微小環境とTNF-αによる胃がん発生促進機序

  • 大島 浩子
    金沢大学 がん進展制御研究所 腫瘍遺伝学研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • The role of inflammatory cytokine TNF-α and microenvironment in mouse gastric tumorigenesis
  • マンセイ エンショウ ト イガン ハッセイ : エンショウセイ ビショウ カンキョウ ト TNF-a ニ ヨル イガン ハッセイ ソクシン キジョ

この論文をさがす

説明

慢性炎症反応は,発がん促進に関与すると考えられている.とくに,ピロリ菌感染に起因した胃がん発生では,炎症性サイトカインが腫瘍発生に関与する可能性が報告されている.我々は,炎症依存的胃がんを発生するGanマウスとTNF-α(Tnf)およびTNFR1 受容体(Tnfrsf1a)欠損マウスを用いて,胃発がんにおけるTNF-α/TNFR1シグナルについて解析した.その結果,Tnf-/-GanマウスとTnfrsf1a-/-Ganマウスは,有為に腫瘍発生が抑制された.また,骨髄移植実験の結果から,骨髄由来細胞(BMDCs)が発現するTNF-αがBMDCsのTNFR1受容体を介した活性化により腫瘍発生促進に関与することが明らかとなっ た.さらに,マイクロアレイ解析結果から,TNF-α依存的に腫瘍細胞でCD44遺伝子の発現が誘導され, これが腫瘍細胞の腫瘍原性獲得に関わっている可能性が示された.したがって,TNF-α/TNFR1シグナルを標的とする胃がん治療の可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 143 (6), 279-282, 2014

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (15)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ