『がん幹細胞を用いた創薬応用』 がん幹細胞の受容体を標的とした創薬の可能性

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タイトル別名
  • Cancer stem cells as a new pharmacological target
  • ガン カンサイボウ オ モチイタ ソウヤク オウヨウ : ガン カンサイボウ ノ ジュヨウタイ オ ヒョウテキ ト シタ ソウヤク ノ カノウセイ

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抄録

幹細胞は自己複製能と多分化能の特性を有しており,再生医療や病態メカニズムの解明,創薬への応用などへの期待が高まっている.近年,がんは「がん幹細胞」と呼ばれるごく少数の細胞を起源として形成されるというコンセプトが非常に注目を集めている.がん幹細胞は幹細胞マーカーを発現して薬剤耐性能を有することから,抗がん薬の治療後に残存したがん幹細胞ががんの再発や転移に関与する.従って,幹細胞を標的とした治療法を開発することによりがんの根治療法の実現が期待される.がん幹細胞は細胞数が少なく同定・単離が難しかったため実体が不明であった.近年,細胞表面抗原,スフィアと呼ばれる細胞塊を形成する方法,薬剤排出能を利用する方法(SP 細胞),細胞内アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の酵素活性を利用する方法など様々な技術開発によりがん幹細胞を同定,分離できるようになりつつある.しかしながら,がん幹細胞の増殖制御機構など明らかになっていない点も多く,がん幹細胞を直接たたくような治療薬はほとんど開発されていない.本稿では,がん幹細胞の同定法を中心に紹介し,がん幹細胞を標的とした創薬の可能性について概説したい.

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