心原性脳塞栓症診断の補助的バイオマーカー

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タイトル別名
  • Supplemental biomarker for differentiating cardioembolic stroke from the other ischemic stroke
  • シン ゲンセイ ノウ ソクセンショウ シンダン ノ ホジョテキ バイオマーカー

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抄録

心原性脳塞栓症は,心腔内の血栓あるいは心内を経由した血栓(塞栓子)が脳血管を閉塞して生じる脳梗塞であり,心房細動,急性期心筋梗塞・慢性期心筋梗塞に伴う心室瘤,僧房弁狭窄症,拡張型・肥大型心筋症などによる心腔内血栓による脳塞栓症や,下肢深部静脈血栓から遊離した血栓が卵円孔開存や肺動静脈瘻などによる右左シャントを介し動脈循環系に流入した奇異性脳塞栓症を含む.また,心原性脳塞栓症の急性期から慢性期にかけての再発率が高いこと(発症後2週間以内の再発:約5%,1年以内の再発率:約40%)が知られており,これを有効に予防する抗凝固療法を行ううえにおいてもより早期に病型診断を行う必要がある.心原性脳塞栓症の病型診断には,塞栓源となりうる心疾患の証明が必要であり,心電図,経胸壁心エコー,経食道心エコーなどにより精査を行うこととなる.しかしながら,12誘導心電図のみでは発作性心房細動の検出率が低いことが報告されている.また,虚血性心筋症を合併した脳梗塞の場合,壁運動低下に伴う塞栓症と動脈硬化の進行に伴う血栓症の双方の可能性があり,鑑別が困難となる場合がある.塞栓源となる心疾患の確定的な検出には時間がかかり,またその判断が困難であることも多いため,より早期から有効な抗凝固療法を始めるための病型診断には,これを補う補助診断法が必要である.心原性脳塞栓症の補助診断に利用可能な新しいバイオマーカーとして,我々が検討を行った血漿brain natriuretic peptide(BNP)値の活用について報告する.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 146 (5), 256-258, 2015

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (9)*注記

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