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- 中瀬 朋夏
- 武庫川女子大学 薬学部 薬剤学研究室
書誌事項
- タイトル別名
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- Artemisinin: a natural product for fighting against cancer
- デントウヤク カラ カイハツ サレタ コウマラリアヤク デ ガン オ ナオス : カンポウ ガン チリョウ : アルテミシニン ノ コウガン カッセイ
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説明
安全で有効性の高いがん治療戦略の開発において,漢方由来成分を用いた治療法がその重要性を高めている.経験的に古くからマラリアの特効薬として利用されてきたアルテミシニンとその誘導体は,キク科の植物であるセイコウ(Artemisia annua L.)から分離されたセスキテルペンラクトンで,構造中のエンドペルオキシドブリッジ(-C-O-O-C-)と細胞内鉄イオンが反応し,フリーラジカルを生成する.近年,トランスフェリン受容体が高発現し鉄イオンを豊富に含有するがん細胞に対して,アルテミシニンの細胞毒性が極めて高いことが注目されている.筆者は,トランスフェリンのN-グリコシド鎖にアルテミシニンを修飾したがん標的アルテミシニンが,アポトーシスを介して,がん細胞に特異的な抗がん活性を示すことを明らかにした.さらに,抗がん薬の効果は細胞内環境の影響を大きく受けることから,がん細胞内の酸化ストレスやエネルギー産生を制御することで,アルテミシニン誘導体の効果を操る手法を開発した.その結果,酸化ストレス耐性のがん細胞に対して,抗酸化促進機能を担うシスチントランスポーター活性を抑制することにより,アルテミシニン誘導体の細胞毒性効果を増強できることが明らかになった.漢方由来成分の効果を最大限に発揮するため,がん標的送達システムや細胞内環境を調節・維持するトランスポーターを制御できる薬剤学的手法を駆使して,今後,臨床応用へ向けたさらなるがん治療戦略の開発を期待する.
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 143 (2), 61-64, 2014
公益社団法人 日本薬理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679253092480
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- NII論文ID
- 130003391424
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- NII書誌ID
- AN00198335
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- COI
- 1:STN:280:DC%2BC2cvlvVOkuw%3D%3D
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- ISSN
- 13478397
- 00155691
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- NDL書誌ID
- 025181975
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- PubMed
- 24531897
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可