薬学教育における模擬患者の活用について

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  • ヤクガク キョウイク ニ オケル モギ カンジャ ノ カツヨウ ニ ツイテ

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抄録

医療を受ける側と提供する側の間に, 情報の不均衡(格差)があるのは当然のことであると, 長らくの間考えられてきた。しかし現在, 多様なメディアを活用することで, プロフェッショナルとアマチュアの間の情報格差が急速に減少しているように感じられる。しかし, 個別的な情報(「わたしがこの病気になったときに, どこの医療機関で, 誰にどんな風に診てもらえばいいのか」)については, メディアからだけでは答えが得られないことも多い。医療は基本的に個々人に合わせたオーダーメイドであるから, 人と人とが相対峙して, 人間関係を作るところから始まる。薬学においても, 薬剤師が「医療人」と明記されて以来, 薬だけを扱う仕事から患者および他の医療職との関係性を重んじる仕事に, その内容が大きくシフトしてきている。患者―医療者間の情報の不均衡を是正するためには, 一方的な情報提供だけでなく, 患者の「思い」を聴き取る能力が必要となる。このような背景に基づき, 薬学教育の変革が行われており, コミュニケーション能力の涵養や, 医療現場での気づきをもたらす能力を身につけるための, 模擬患者を活用した教育が急速に広まっている。

収録刊行物

  • 薬学図書館

    薬学図書館 53 (3), 216-220, 2008

    日本薬学図書館協議会

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