コガムシHydrophilus affinis Sharpの卵のう形成における水田内および畦畔雑草の利用

書誌事項

タイトル別名
  • Utilization of leaves in paddy fields and around levee for making cocoons by a water beetle Hydrophilus affinis Sharp

説明

ガムシ科の甲虫コガムシHydrophilus affinis Sharpは,卵のうを形成する際に生の雑草の葉を利用する。近年,コガムシの個体数の減少が各地で報告され,絶滅危惧種に指定した県が複数ある。筆者らは,コガムシの個体数の減少には,卵のうを形成するために必要な水田内および畦畔雑草の減少が関与していると考えた。そこで,本種の保全を図るためにコガムシの産卵と雑草の関係を調査した。<br> コガムシは主に畦畔の雑草の葉身を卵のう形成に用いた。平均卵のう数は,水田内区の0.5個/m2に比べて畦畔隣接区で9.3個/m2と有意に多かった。畦畔隣接区で確認された草種の18科40種のうち,11科16種が卵のう形成に利用された。Jacobsの選択指数から,正の選択指数を示す種(ツユクサ,クサヨシなど),畦畔辺によって正あるいは負の選択指数を示す種(ヤナギタデ,イヌタデなど),および負の選択指数を示す種(スズメノテッポウなど)に分類できた。<br> 卵のう形成に用いられた葉身の76%は,畦畔水際から30cmの範囲内に存在し,葉身の切除位置は水面下1cm∼水面であった。葉身の大きさは,長さ23mm∼34mm,幅9∼20mmの範囲に分布した。卵のう内の平均卵数は69∼81卵数を示し,草種ごとに大きな差は認められなかった。以上の結果を基に,卵のう形成に用いる草種の選択性および利用様式について考察するとともに,保全生物学的な観点から畦畔雑草の管理を考えた。

収録刊行物

  • 雑草研究

    雑草研究 53 (2), 55-62, 2007

    日本雑草学会

参考文献 (4)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679256124672
  • NII論文ID
    130004504000
  • DOI
    10.3719/weed.53.55
  • ISSN
    18824757
    0372798X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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