Spectral absorption property of pigments in living leaves and its contribution to photosynthesis.

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  • 生葉における色素の分光吸収特性とその光合成への寄与
  • 生葉における色素の分光吸収特性とその光合成への寄与〔英文〕
  • ナマハ ニ オケル シキソ ノ ブンコウ キュウシュウ トクセイ ト ソノ コ

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生葉中の個々の色素に基づく吸光度(log 1/T)および吸収率[1-(R+T)]スペクトルを,イネの正常品種,農林8号(N8)および人為突然変異系統を用いて差スベクトル法で解析した. ここで,Tは透過率,Rは反射率を示す. 供試した突然変異系統は,N8に起源をもつCMV44(クロロフィルbを欠く),CM213(クロロフィル全部を欠く)およびCM53(クロロフィル全部とカロチノイドの大部分を欠く)の3系統で,次の組合せを用いて差スペクトルを測定し,各色素に基づく吸収特性とした:クロロフィルa-CMV14-CM213;クロロフィルb-N8-CMV44;カロチノイド=CM213-CM53;および色素以外の物質=CM53-空気. 各色素に基づく吸光度スペクトルの極大値は,クロロフィルaが437と678nm;クロロフィルbが473と649nm;カロチノイドが455と483nmの各波長にみられた. クロロフィルbとカロチノイドの吸光度極大値はクロロフィルaの極大値の約1/3.5であった. 単一葉層の吸光度スペクトルに対する各色素の関与の仕方は第2図に示すようである. 一方,各系統の葉の吸収率スペクトルの差から求めた各色素に基づく吸収率スペクトルの結果では,クロロフィルaは680nmに,クロロフィルbは645nmにそれぞれ極大値を示したが,両クロロフィルとも青色域に明らかな極大値を示さなかった. 測定波長域の平均吸収率を比較すると,クロロフィルbはクロロフィルaの約1/1Oで,吸光度におけるピークの比率より著しく低かった. カロチノイドの吸収率はクロロフィルa+bの青色部における吸収率にほぼ匹敵していた. 単一葉層の吸収率スペクトルに対する各色素の関与程度を示すと第5図のようになる. 光合成の作用スペクトルおよびenhancement(増進)スペクトルの形を単一葉層中の各色素に基づく吸収率スペクトルと比較した. その結果,正常植物(クロロフィルa+b+カロチノイド系)では,作用スペクトル曲線はクロロフィルa+b+カロチノイド×0.5の合計吸収率スペクトルによって,また,光反応系IIの増進スベクトルはクロロフィルb+カロチノイド×0.3の合計吸収率スペクトルによってほぼ説明することができた. クロロフィルbを欠く植物(クロロフィルa+カロチノイド系)では,作用スペクトルは青色域末端を除くともっぱらクロロフィルaのみの吸収率スペクトルと一致し,増進スペクトルは主にカロチノイドの吸収率×0.3と対応した. これらの結果から,クロロフィルaとbによって吸収された光は,広い波長域にわたって等しい効率で光合成に寄与しているが,カロチノイドによって吸収された光の光合成に対する効率はクロロフィルに比べて0.3-0.5であることが示唆された.

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