遮光および無遮光条件下におけるイネ葉身の表面微細構造

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タイトル別名
  • Leaf surface fine-structures in rice plants cultured under shaded, and non-shaded conditions.
  • 遮光および無遮光条件下におけるイネ葉身の表面微細構造〔英文〕
  • シャコウ オヨビ ム シャコウ ジョウケンカ ニ オケル イネ ヨウシン ノ

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抄録

作物の恒常的な発育を保つ上で外気に接する表皮系組織の果たす役割は大きい. 表面構造の変化と珪質化の面からこの組織の構造と機能を明らかにする必要があると考え本研究を行った. 水稲葉身の表面構造とくにエピクチクラワックス(EW)の形態と構造ならびに遮光による影響を走査電子顕微鏡で観察した. 水稲品種"秋晴"を春日井氏培養液で砂耕し, 播種後28日間塞冷紗による80%遮光処理を行った. 別に無遮光区を設けて対照区とした. 自然日長ガラス室内で栽培し, 第6葉展開期に第5葉葉身の先端から1/3の部分を5mmずつ切り取って改良カルノフスキー液で12時間固定した. アルコール・アセトン脱水, 臨界点乾燥ののち金コーティングを施し, JSM-F7型走査電子顕微鏡で加速電圧15KeVで葉の上面(向軸側)と下面(背軸側)とを観察した. 上面表皮: 無遮光区葉身の脈上部では, コルクー珪酸細胞対, 孔辺細胞・副細胞のいずれも, 表面が不規則な大きさの繊維状ないし小片状のEWで密に覆われていた(第1, 3図), これらの細胞中乳頭状突起の部分はEWがとりわけ密であった(第1, 2, 3図). 他方毛耳と微毛では毛耳基部以外はEWが認められなかった(第5, 14, 18図). 脈間部の細胞でもEWの形成が密であったが, 機動細胞では他の細胞に比べてやや疎であった(第4図). この部域でも乳頭状突起のEWは最も密であった. 遮光区葉身では全般にEWの形成が悪く, 電子密度の低い部分が多く見られた(第6, 7, 9図). この変化はコルクー珪酸細胞対(第6図), 孔辺・副細胞(第7図). 表皮長細胞に顕著に現われ, EWも小棒状のものが多くなった(第7, 9図). 下面表皮: 無遮光区の脈上部でEWは上面表皮と同様の形成が認められ, 乳頭状究起に最も密にEWが見られた(第11, 12図). 脈間部では長細胞の大形突起頭部はEWを欠いていた(第10, 13図). 遮光区葉身も無遮光区と同様にEW形成が良好で, 下面表皮では遮光の影響はほとんど見られなかった. 水稲葉身表面でのEW形成と遮光の影響が場所により細胞により異なることを明らかにし, これに若干の考察を加えた.

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