関東南部における播種期の違いがダイズの収量と莢先熟発生に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of Sowing Time on the Yield and the Occurrence of Delayed Stem Senescence in Soybean in South Kanto
  • 栽培 関東南部における播種期の違いがダイズの収量と莢先熟発生に及ぼす影響
  • サイバイ カントウ ナンブ ニ オケル ハシュキ ノ チガイ ガ ダイズ ノ シュウリョウ ト サヤセンジュクハッセイ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

莢先熟の発生を抑え高品質なダイズを高い収量レベルで得られる播種期を明らかにすることは極めて重要な問題である.そこで本研究では関東地方で栽培されているダイズ品種を用いて播種期の違いがダイズの子実収量と莢先熟の発生に及ぼす影響を明らかにした.供試品種はエンレイとタマホマレで,2006年から2008年は圃場試験を,2009年はポット試験を実施した.播種はいずれの年も5月中旬と6月中旬の2回行った.エンレイとタマホマレ共に5月播種に比べ6月播種で葉面積指数と地上乾物重および子実収量が低下した.しかし,6月播種において栽植密度を2倍にすると,タマホマレでは5月播種と同等の子実収量を得たが,エンレイでは子実収量は増加しなかった.品種によって密植栽培に対する子実収量の反応が異なったのは,単位面積当たりの分枝節数と分枝莢数が,タマホマレでのみ密植により増加したためと考えられた.タマホマレは5月に播種しても6月に播種しても莢先熟の発生程度に差はなかったが,エンレイは5月に播種すると6月に播種した場合に比べ莢先熟の発生程度が著しくなった.5月と6月に播種したタマホマレと6月に播種したエンレイでは開花盛期から子実肥大盛期になると地上部へ供給されるサイトカイニン量が低下したが,エンレイを5月に播種した時には子実肥大盛期になってもサイトカイニンの供給量が低下しなかった.このことから,5月に播種するとエンレイで莢先熟が著しく発生した要因のひとつに,子実肥大盛期以降に木部液を通して地上部へ供給されるサイトカイニン量が影響していると考えられた.以上のことから,関東南部で高品質なダイズをより多く生産するためには,エンレイの場合は6月中旬以降に播種する必要があり,タマホマレでは5月から6月の間の播種であれば莢先熟の発生程度に差はないが,6月播種の場合,単位面積当たりの莢数を確保するため5月播種に比べ,より密植で栽培する必要がある.

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