寒冷地の水稲湛水直播栽培における品質関連形質の特徴とその変動要因

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  • Characteristics of Grain Quality and the Causal Factors in Direct-seeded Rice (<i>Oryza stiva</i> L.) in Lowland Field in a Cooler Region of Japan
  • カンレイチ ノ スイトウタンスイ ジカマキ サイバイ ニ オケル ヒンシツ カンレン ケイシツ ノ トクチョウ ト ソノ ヘンドウ ヨウイン

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抄録

寒冷地の水稲湛水直播栽培(直播栽培)では,出穂の遅れにともなう登熟条件の変化が大きいため,品質や食味への影響が大きいことが想定されるが,穂相や玄米粒形の変化を介した品質や食味への影響についての詳細な検討は行われていない.そこで,東北地域における4ヵ年にわたる移植および直播の作期試験データをもとに,直播水稲の品質関連形質の特徴とその変動要因について検討を行った.食味関連成分については,直播水稲で玄米タンパク含有率が低く,白米アミロース含有率が高くなる傾向が認められたが,ともに栽培法間差は小さいため,食味への影響は軽微であると推察された.一方,移植および直播栽培の普通期栽培での外観品質を比較すると,直播栽培で千粒重が増大して整粒歩合も有意に高くなり,年次間の変動も小さいことから,品質が安定して高いことが示された.直播水稲の品質向上要因を解析した結果,移植栽培と比較して出穂期が遅れて登熟前半の気温が低下すること,1穂籾数が減少して2次枝梗着生籾割合が低下することに大別された.このうち,出穂期の遅れについては,高温登熟の回避による白未熟粒発生の抑制,籾殻形成期の気温上昇および登熟初期の気温低下による玄米粒形の増大が,直播水稲の品質向上要因であると考えられた.また,直播栽培では穂数の増加にともない1穂籾数が減少しやすいが,これにともない,粒形が小さく,整粒歩合も低い2次枝梗着生籾の割合が減少することも外観品質の向上に貢献しているものと推察された.

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