群集集合に影響を及ぼす要因

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  • Review of factors affecting patterns and processes of community assembly
  • グンシュウ シュウゴウ ニ エイキョウ オ オヨボス ヨウイン

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抄録

1. 本稿は, 群集集合の一般的な枠組みについて, そのメカニズムとプロセス, 結果として生成される群集構造の関係を包括的にまとめたものである.2. 群集集合とは, ある群集が形成されること, または形成されていることである.群集集合は, 種プールの制約, 分散の制約, 環境の制約, および集合規則に制約される.また, 群集集合が確率論的に決まるとする考え方もある.3. 群集は局所群集とメタ群集の階層的構造をもち, 階層的なα多様性, β多様性, γ多様性によって記述される.また, 群集集合の帰結として, 群集構造が分岐する多重安定状態が観察される.4. 種プールのサイズが大きくなるとともに, α多様性, β多様性, γ多様性がそれぞれ増大する.生息場所タイプの頻度をもとに種プールサイズと種多様性を関連づけた種プール仮説がある.5. 分散率が大きくなるとともに, α多様性は単峰形となるが, β多様性とγ多様性は減少する.種の移入順序は群集構造の収斂と分岐, すなわちα, β, γ多様性それぞれに影響を及ぼす.また, 分散を主要なメカニズムとして, メタ群集で種の入れ子分布による構造化が観察される.6. 一次生産性が大きくなるとともに, α多様性は単峰形となるが, β多様性とγ多様性は増大する.撹乱率が大きくなるとともに, α多様性は単峰形となるが, β多様性とγ多様性は減少する.種の特性に基づいて, 環境の制約には環境フィルターとしての作用がある.また, 環境勾配に基づいて, メタ群集で群集の空間的回転による構造化が観察される.7. 群集集合において作用する内部の制約として, 栄養段階内と栄養段階間において5つの集合規則が一般的に考えられる.これらの集合規則のほとんどは群集における資源動態や空間動態に基づくものである.8. すべての種個体が繁殖と死亡において同等であり, それぞれの種個体数が確率論的に増減することを仮定している中立理論では, その予測性や仮定がテストされている.決定論的プロセスと確率論的プロセスのどちらで現実的なデータに当てはまりがよいかは不明である.9. 群集集合における今後の研究では, 制約間の相互作用と時空間スケールの考慮が必要である.また, 食物網で群集構造を記載することによって, 群集集合と生態系機能に関する研究の統合を図ることが課題である.

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