植物を介した植食者間の間接効果の普遍的特徴 : メタ解析を用いた定量的レビュー

  • 宮本 康
    島根大学汽水域研究センター:(現)鳥取県衛生環境研究所 水環境室

書誌事項

タイトル別名
  • Some general features of the plant mediated indirect effects : a quantitative review using meta-analysis
  • ショクブツ オ カイシタ ショクショクシャ カン ノ カンセツ コウカ ノ フヘンテキ トクチョウ メタ カイセキ オ モチイタ テイリョウテキ レビュー

この論文をさがす

説明

植物を介した植食者間の間接効果の普遍的特長を、3種系の相互作用を対象としてメタ解析を用いて検証した。室内実験・野外実験・野外調査により間接効果を植食者の密度変化として評価した44例を対象に(1)間接効果の符合と強度の特徴、(2)研究期間に応じた間接効果の強度の変化、(3)間接効果と直接効果の相対強度、の3点を検証した。解析の結果、(1)植物の変化を介した植食者間の間接効果は3つの植物の変化様式(量・質・すみかの変化)の間で強度に違いがない反面、符合(正・負)には違いがあることが明らかになった。植物の量の変化を介した間接効果はマイナスの効果に、植物上のすみかの変化を介した間接効果はプラスの効果に偏り、さらに、植物の質の変化を介した間接効果はプラスとマイナスの効果が均等に生じていた。また(2)事例数の多い「植物の質の変化を介した間接効果」に注目した場合、その強度は実験期間の長期化に応じて減衰しないことが示された。さらに、(3)植物の質の変化を介した間接効果では、その強度は直接効果に較べて大きいことが示唆された。特に(1)と(3)の特徴は栄養カスケードに代表される他の間接効果とは対照的なことから、植物を介した植食者間の間接効果のみの特徴である可能性が考えられる。

収録刊行物

  • 日本生態学会誌

    日本生態学会誌 56 (2), 125-133, 2006

    一般社団法人 日本生態学会

参考文献 (49)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ