-
- 山田 昌弘
- 中央大学文学部
書誌事項
- タイトル別名
-
- The Future of the Family in Japan
- 日本家族のこれから : 社会の構造転換が日本家族に与えたインパクト
- ニホン カゾク ノ コレカラ : シャカイ ノ コウゾウ テンカン ガ ニホン カゾク ニ アタエタ インパクト
- 社会の構造転換が日本家族に与えたインパクト
- The Impact of the Social Transformation on the Family
この論文をさがす
説明
近代家族は, 近代社会において人々を, 経済的, 心理的に社会的に包摂する装置として形成された. 日本を例に取ってみると, 戦後から1980年代ごろまでは, ほとんどの人がこの近代家族を形成することが可能であった. しかし, 近代家族が頂点となった80年ごろ, 言説の中で, 近代家族規範の抑圧性に注目が集まり, 近代家族からの解放を目指す動きが起きた.<br>1980年ごろから先進国で始まる経済のグローバル化に象徴される経済構造の転換は近代家族の経済基盤を壊し, 個人化の加速が近代家族規範の有効性を低下させる. その結果, 近代家族を形成・維持できない人々が増大する. 欧米先進国の一部では, 家族の中に閉じ込められていた諸要素 (家計, ケア, 親密性, セクシュアリティなど) が分解して, 独自のメカニズムで動くようになる.<br>日本でも, 1990年代半ばから経済の構造転換や個人化の影響を受け, 未婚率, 離婚率の上昇が顕著である. その結果, 日本では, 近代家族を形成・維持できる人々と, それからこぼれ出る人々に分裂していると判断できる. しかし, 近代家族形成以外に, 経済的自立やケア, 社会的承認のモデルがないため, 近代家族への意識上の回帰現象がみられる.<br>この近代家族に属している人といない人への分裂傾向は, 家族社会学だけでなく, 他の社会学の実証分野にも大きな影響を及ぼすであろう.
収録刊行物
-
- 社会学評論
-
社会学評論 64 (4), 649-662, 2013
日本社会学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679271319552
-
- NII論文ID
- 130005061588
-
- NII書誌ID
- AN00109823
-
- ISSN
- 18842755
- 00215414
-
- NDL書誌ID
- 025406171
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可