局所温熱療法で治療した左頬部に生じたスポロトリコーシス (固定型) の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Sporotrichosis (Fixed Type) on the Left Cheek Treated with Local Hyperthermia
  • 症例 局所温熱療法で治療した左頰部に生じたスポロトリコーシス(固定型)の1例
  • ショウレイ キョクショ オンネツ リョウホウ デ チリョウ シタ ヒダリ ホオブ ニ ショウジタ スポロトリコーシス(コテイガタ)ノ 1レイ

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抄録

68 歳,女性。農業従事者。初診の約 5 カ月前より左頬部に痂皮の付着した浸潤性紅斑局面を認めた。皮膚生検の組織像は真皮上層の肉芽腫性反応であり,PAS 染色で陽性の酵母様真菌要素を認めた。スポロトリキン反応は陽性。真菌培養にて灰白色で中央に皺のある湿潤性のコロニーを形成した。スライド培養では,分生子はほぼ無色,円形ないし楕円形であり,菌糸側面から直接生じるものと,菌糸の分生子柄先端に着生し花弁状を呈するものの2 種類が認められた。また,分子生物学的には既知のリボゾーム RNA 遺伝子と相同性を有する塩基配列を ITS 領域に認めたため,本菌を Sporothrix schenkii と同定した。治療は化学カイロによる局所温熱療法のみで約 3 カ月で瘢痕を残して治癒した。今回,自験例を含む過去 9 年間の本邦報告例を合わせて検討し,若干の考察を行ったので報告する。集計の結果,スポロトリコーシスは近年では報告数が減少しており,まれな疾患となりつつあるが,難治性の皮疹を診察した時の重要な鑑別疾患として引き続き注意が必要であると考え報告する。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 75 (5), 432-437, 2013

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (6)*注記

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