神経線維腫症 1 型ではない患者の孤立性神経線維腫に続発した皮膚悪性末梢神経鞘腫瘍

書誌事項

タイトル別名
  • Malignant Peripheral Nerve Sheath Tumor Arising from a Solitary Neurofibroma in a Patient without Neurofibromatosis Type 1
  • 症例 神経線維腫症1型ではない患者の孤立性神経線維腫に続発した皮膚悪性末梢神経鞘腫瘍
  • ショウレイ シンケイ センイ シュショウ 1ガタ デワ ナイ カンジャ ノ コリツセイ シンケイ センイ シュ ニ ゾクハツ シタ ヒフ アクセイ マッショウ シンケイ サヤ シュヨウ

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抄録

<p>悪性末梢神経鞘腫瘍(malignant peripheral nerve sheath tumor : MPNST)の多くは神経線維腫症 1 型(NF1)患者の結合織深部で神経の神経線維腫(plexiform neurofibroma)から発生する。真皮から皮下組織の末梢神経および神経線維腫を起源とするものは皮膚悪性末梢神経鞘腫瘍(cutaneous malignant peripheral nerve sheath tumor : cutaneous MPNST)と称される。その多くは NF1 非合併例に生じるが,本症例のように,孤立性神経線維腫に続発したという報告は稀である。NF1 を伴わない 65 歳の女性で,初診の 7 年前に孤立性神経線維腫と診断され切除されていた右前胸部の腫瘤の切除部位に生じたcutaneous MPNST の症例を報告する。初診時,右前胸部に淡褐色で,なだらかに隆起し,一部は赤みを帯びてやや陥凹する直径約 5 cm の弾性硬の腫瘤を認めた。全摘出標本の組織像は異型性の強い紡錘形細胞が真皮から皮下にかけて不規則に交錯して稠密に増殖し,同部における切除した筋膜断端には腫瘍細胞の浸潤が認められた。手術から 1 年 5 カ月後,切除部に皮下結節が生じ,再切除した 4.5×3 cm の病変は組織学的には異型性,細胞密度ともに低い紡錘形細胞が増殖し,MIB-1 index は 5%であった。高率な遠隔転移ゆえに MPNST の生命予後は一般に不良であるのに対し cutaneous MPNST は早期発見と完全な切除で予後は悪いばかりではない。予後良好の因子としては,病変が頭頚部以外で,腫瘍径が 5 cm 以下であり,切除断端において腫瘍が陰性であることが挙げられる。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 78 (5), 516-521, 2016

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (11)*注記

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