水素を高密度に蓄える水素貯蔵材料自身の危険性を知る : 発火・爆発試験結果に基づく水素貯蔵材料の危険性評価(官能的表現と物性的表現)

  • 田中 秀明
    独立行政法人産業技術総合研究所ユビキタスエネルギー研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • 水素を高密度に蓄える水素貯蔵材料自身の危険性を知る--発火・爆発試験結果に基づく水素貯蔵材料の危険性評価
  • スイソ オ コウミツド ニ タクワエル スイソ チョゾウ ザイリョウ ジシン ノ キケンセイ オ シル ハッカ バクハツ シケン ケッカ ニ モトズク スイソ チョゾウ ザイリョウ ノ キケンセイ ヒョウカ

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抄録

現代社会のエネルギー媒体の主役である化石燃料(石油,石炭,天然ガス)には限りがあり,現状の勢いで消費が続くと早晩逼迫・涸渇する。一方,次世代を担うエネルギー媒体として期待されている水素は,物質としては地球上に大量に存在し,燃焼生成物も水のみである。このため,エネルギー・環境問題の緩和にも繋がるものと期待されるが,太陽光,風力,水力,地熱等,再生可能エネルギーを利用した水電解などにより抽出(製造)していく必要がある。加えて,水素の大量供給には高効率で安全な輸送・貯蔵技術も必要とすることから,経済産業省やNEDOなどの下にこれまでに様々な研究開発が実施され,課題克服や安全性検証が図られてきた。それでもなお「水素は危険」という先入観のために,その大量貯蔵に違和感を覚える向きもある。このような中,水素貯蔵に対する危険性を科学的・客観的な規準に基づいて正しく把握し,適切な安全対策を立て,将来の利用・普及に繋げることは,科学及び教育に携わる者の責務である。本稿では,水素の高効率貯蔵媒体として約半世紀にわたって開発されてきた水素貯蔵材料を採り上げる。そして,その安全に関する数ある性状の中から発火・爆発危険性について,我々が実際に行った新規に開発された当該材料に対する危険性の検証例を示し,他の貯蔵材料との比較についても紹介する。

収録刊行物

  • 化学と教育

    化学と教育 59 (4), 220-223, 2011

    公益社団法人 日本化学会

参考文献 (14)*注記

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