中頓別町(北海道枝幸郡)の石灰岩地・非石灰岩地における陸産貝類相

書誌事項

タイトル別名
  • Terrestrial molluscan fauna at limestone and non-limestone area in Nakatonbetsu-cho (northern Hokkaido, Japan)
  • ナカトンベツマチ(ホッカイドウ エサシグン)ノ セッカイガンチ ・ ヒセッカイガンチ ニ オケル リクサン カイルイソウ

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抄録

陸産貝類は殻や卵殻の形成に炭酸カルシウムを多く必要とするため,炭酸カルシウムに富む石灰岩地には陸産貝類が多産するとされている.すなわち,石灰岩地において陸産貝類を定量的に調査することは,その地域の陸産貝類相を正確に把握するにあたり欠かせない.一方で,北海道内の石灰岩地における定量的な陸産貝類相の調査はこれまでになされておらず,各石灰岩地に生息する陸産貝類の基礎情報すら正確に把握されていない状況にある.本研究では中頓別町の石灰岩地における詳細な陸産貝類相を明らかにすると同時に,石灰岩地と非石灰岩地の間で陸産貝類相を比較することを目的に,定量的な調査を行った.中頓別町内の石灰岩地 2 地点と非石灰岩地 1 地点において陸産貝類相を調査したところ,各地点の合計種数,および平均種数密度(種数 / m2)は,石灰岩地の方が非石灰岩地よりも多い傾向があった.一方で,個体数密度(個体数 / m2) については石灰岩地のうちの 1 地点が最低の値を示したことから,石灰岩地における陸産貝類の多産傾向が中頓別町にも見られるのかどうかを本研究のみによって結論づけることはできなかった.一方で,タナカキビ Trochochlamys borealis の北限記録が大幅に更新されたほか,ケシガイ Carychium pessimum や,コハクモドキ Retinella radiatula radiata, ナガナタネガイ Columella edentula など複数の種において,石灰岩地のみに出現する傾向があることが示唆された.

収録刊行物

  • Edaphologia

    Edaphologia 101 (0), 1-6, 2017

    日本土壌動物学会

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