銚子地域における後氷期の植生変遷

書誌事項

タイトル別名
  • A palynological study on postglacial vegetation changes in the Choshi area, Central Japan
  • チョウシ チイキ ニ オケル コウヒョウキ ノ ショクセイ ヘンセン

この論文をさがす

抄録

1.シイ-クリ型花粉化石のSEM観察から,花粉化石の畝幅と形状をもとにシイ型(ツブラジイおよびスダジイ)とクリ型を識別した.花粉分析結果からは約10,000Cal BPから約750Cal BPまでの植生変遷として,先駆的落葉広葉樹林:DBL(P),落葉広葉樹林:DBL,針広混交林:CDBM,常緑広葉樹を伴った中間温帯林:ML,マツ二次林:Psにいたる植生変遷を認めた.2.約9,000Cal BPのニレ-ケヤキ属花粉の優占的な出現はニレ林およびケヤキ林が優占する先駆的落葉広葉樹林を指標しており,その背景には河川撹乱など不安定な地形環境を想定した.同時にクリやシイが存在し約8,000Cal BPにはシイノキ属が存在した.また,ウコギ科が約10,000Cal BPから約8,000Cal BPにかけて沿岸地に優占群落を形成した.3.約8,000Cal BPから約6,000Cal BPにかけて,針葉樹と落葉広葉樹の混合林が発達した.ただし,約8,000Cal BP以降の針葉樹樹花粉の増加は,内湾化した堆積環境でのネーベス効果を受けており,針葉樹林の増加は局地的であった.4.カシ林は約7,000Cal BPに内陸地で拡大し,シイ林をともなう中間温帯林を形成したが,海岸地では約4,000Cal BPの海退期に発達した.また,約2,000Cal BPに地表面の撹乱によるマツ二次林と草地が増加した.ただし,今回の研究では,約6,500Cal BP〜約4,000Cal BPと約3,000Cal BPから約2,000Cal BPのデータを欠いており,常緑広葉樹林の成立時期を含め先行研究との十分な比較は今後の課題として残った.

収録刊行物

参考文献 (79)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ