能動的呼吸制御装置を用いた肺癌定位放射線治療

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  • STEREOTACTIC RADIOTHERAPY FOR LUNG CANCER USING ACTIVE BREATHING CONTROL SYSTEM

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肺癌に対するSRT(stereotactic radiotherapy)は近年盛んに行われている.当科で独自に開発した腹壁位置検知式のABC(active breathing control)装置とDFFP(dual fluoroscopy with flat panel)装置を組み合わせた上で肺癌に対してSRTを施行(ABC-SRT)し,局所制御率および肺有害事象の検討を行った.<br>ABC-SRTは,腫瘍最大径が 5 cm以下・呼吸性移動が 1 cm以上の肺癌で本人の同意が得られた症例を適応とした.2000年 3 月より2004年 7 月までにABC-SRTを施行した19例(平均年齢58.2歳,男12:女 7)・25病変を解析対象とした.原発性肺癌は 4 例,他15例は転移性肺癌であった.ABC装置にて,中間位から吸気位に差し掛かった際に呼吸停止を行い治療計画およびSRTを行った.投与線量は,23病変が45 Gy/3 fr,2 病変は60 Gy/8 frであった.加療後,局所制御・肺有害事象の観察を行った.<br>1 名・1 病変を除く18名・24病変に対し処方通りの線量を投与でき,ABC-SRTを完遂できた.また,完遂例24病変の1 年・2 年・4 年局所制御率はそれぞれ94.1%・74.0%・74.0%であった.腫瘍最大径別で局所制御率を解析した結果,最大径が2.5 cm未満では90.0%に対し,2.5 cm以上では42.9%と有意傾向を認めた(p=0.0579).<br>完遂例18例における肺有害事象は,1 例にgrade 2(RTOG:Radiation Therapy Oncologic Group /EORTC:European Organization for Research and Treatment of Cancer)の肺臓炎を認めたが,投薬にて早期に軽快した.他の症例はgrade 1 以下であり,肺毒性は許容範囲内と考えられた.<br>ABC-SRT施行の19例中10例は,以前に化学療法が行われていた.それにもかかわらず肺毒性が全体的に軽度であったことを考えると,ABCにより肺毒性が軽減されている可能性がある.肺毒性については,今後ABC非使用例との比較解析を行う予定である.

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