閉塞性肥大型心筋症に対してDDDペースメーカー植え込み後に手術し得た濾胞性歯嚢胞の一例

  • 高倉 克博
    東京歯科大学オーラルメディシン講座東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科
  • 山根 源之
    東京歯科大学オーラルメディシン講座東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科
  • 武田 宇央
    東京歯科大学オーラルメディシン講座東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科
  • 渡邊 裕
    東京歯科大学オーラルメディシン講座東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科
  • 外木 守雄
    東京歯科大学オーラルメディシン講座東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科
  • 金子 譲
    東京歯科大学歯科麻酔学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Follicular Cyst could be Operated after Implantation of DDD Pacemaker for Hypertrophic Obstructive Cardiomyopathy

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抄録

今回我々は, 閉塞性肥大型心筋症hypertrophic obstructive cardiomyopathy (以下HOCMと略す) を有していたため未処置で経過し, 増人した下顎骨の濾胞性歯嚢胞の患者に対し, DDDペースメーカーにより循環動態を安定させ摘出し得た一例を経験した。<BR>患者は62歳, 女性。1990年頃より, X線診査にて下顎埋伏智歯周囲に嚢胞様透過像を認め, 加療の必要性を指摘されていた。しかし, 症状がなく処置の緊急性が認められないこと, またHOCMにより手術リスクが高いことから, 経過観察を行っていた。1997年, 同部の感染が認められたため, 当科に紹介来院した。初診時, 薬剤治療抵抗性の重篤なHOCMを認めた。恒久的DDDペースメーカー植込み, 左室大動脈圧較差を減少させ, 全身麻酔 (セボフルラン, 笑気, 酸素) 下に施行した。手術時は, 循環動態の把握, 心室-大動脈圧較差の是正, 低侵襲処置などに配慮した。本例は, DDDペースメーカー療法により心負荷の改善を図ることが可能となり, より安全に手術を行うことができた。<BR>HOCMは比較的まれな疾患であるが, その発症頻度は加齢とともに増加し, 老年者に多くみられる。近年, 基礎疾患を有する老年者は増加傾向にあると思われ, 治療に際し詳細な術前評価および集学的治療が必要と考える。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 14 (2), 111-117, 1999

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

参考文献 (18)*注記

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