Fanconi‐Bickel症候群(糖原病XI型)における腎病変の検討

  • 中島 滋郎
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学
  • 志水 信彦
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学
  • 平井 治彦
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学
  • 島 雅昭
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学
  • 赤木 幹弘
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学
  • 乾 幸治
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学
  • 岡田 伸太郎
    大阪大学大学院医学系研究科 生体統合医学 (D-5) 小児発達医学講座小児科学

書誌事項

タイトル別名
  • Renal Complications in Two Patients with Fanconi-Bickel Syndrome.

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説明

Fanconi-Bickel症候群 (糖原病XI型) は肝腎でのグリコーゲン蓄積,Fanconi症候群およびガラクトース代謝異常を呈する先天代謝異常疾患である。今回,当科で長期間加療している本症の2例の腎機能および腎組織について報告した。症例1は現在22歳の男性,症例2は現在24歳の女性。症例1は1歳6カ月時に,症例2は4歳時にそれぞれFanconi症候群を伴う糖原病 (欠損酵素不明) と診断された。<br> 2例とも糸球体機能は正常であったが,低身長,腎性くる病,腎性糖尿,汎アミノ酸尿,近位型尿細管性アシドーシス,低リン血症などの近位尿細管障害を認めた。症例1では高カルシウム尿症を認め,10歳時に腎石灰化,20歳時に大脳基底核の石灰化を指摘された。症例2では高カルシウム尿症,腎および頭蓋内の石灰化は認めなかった。症例1の腎生検組織では,尿細管上皮の壊死と石灰化,近位および遠位尿細管とその周囲でのPAS陽性物質の沈着を認めた。一方,症例2の腎生検組織では明らかな尿細管の変化やPAS陽性物質の沈着は認めなかった。2症例ともに臨床的および生化学的にはFanconi-Bickel症候群と診断されるが,腎組織像や高カルシウム尿症の有無など異なる点も多い。ゲノムDNAを用いたglucose transporter 2 (GLUT 2) 遺伝子の検討では,症例1ではTrp 420 stopのホモ接合子異常を認めたが,症例2では異常は検出できなかった。以上のことから,本症候群がGLUT2遺伝子以外の異常によっても生じる可能性が示唆された。

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参考文献 (2)*注記

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