乳牛の疾病に関する疫学的研究

DOI Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Epidemiological studies on bovine diseases.

この論文をさがす

説明

千葉県農業共済組合連合会家畜臨床研修所管内の酪農家69戸について, 昭和55年度から57年度の疾病のリ患率および同地区における気象要因を調査し, 疾病のリ患率と気象要因の相関関係を調べた。さらに対象酪農家の経営, 飼養および環境等に関する項目を調査し得られた調査結果をもとに, 数量化理論III類によって抽出した主要な項目と疾病のリ患率との関連性を, 数量化理論I類によって重相関分析し以下の結果を得た。<BR>1.「全疾病」および「乳房炎」の月別リ患率は, 一般に月別の平均気温および月別の平均湿度との間に強い正の相関 (P<0.05) を示したが, 「産科疾患」および「不妊症」のリ患率は, これらの気象要因と有意の相関を示さなかった。すなわち, 疾病の種類によって, そのリ患率におよぼす気温, 気湿などの気象要因の影響力は異なるものと思われた。<BR>2.「全疾病」のリ患率と酪農環境要因との関連性を, 数量化理論I類で分析した結果, 「全疾病」のリ患率は, 酪農専業度が高く, 規模が大きく, 生産意欲の旺盛な若い経営者が経営している酪農家で高い傾向がみられた。<BR>3.「産科疾患」のリ患率は, 他の疾病にくらべ経営に関する事項との関連の度合が高く, 特に経営者の年令および後継者の有無がリ患率の大きさに強く影響しており, 経験豊富な高齢の経営者でリ患率が低い傾向がみられた。<BR>4.「不妊症」のリ患率は, 牛舎の環境と構造および経営に関する事項との関連が強く, 牛舎環境が悪い場合にリ患率が増加する傾向を示した。また, 経営者が若く, 目標乳量の高い専業酪農家においてリ患率が高いように思われた。<BR>5.「乳房炎」のリ患率は, 牛舎の環境と構造に関する事項, とくに排水溝の構造と飼槽の形式との関連が大きかった。また, 規模が大きく目標乳量の高い酪農家において, リ患率が高い傾向を示した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ