腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群とサイトカイン

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  • Enterohemorrhagic <i>Escherichia coli</i> induced hemolytic uremic syndrome and cytokine

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抄録

要旨 腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia Coli; EHEC)によって産生された志賀毒素(Shiga toxins; STx)は,蛋白合成阻害により宿主の細胞死を誘導するほか,腸管や尿細管,糸球体上皮細胞,血管内皮細胞,単球・マクロファージを刺激し,tumor necrosis factor-α,interleukin (IL)-1β,IL-6,Interferon-γ などのサイトカイン,IL-8 などのケモカインを誘導する。STx やlipopolysaccarideにより誘導された炎症性サイトカインはSTx の受容体であるglobotriaosylceramide(Gb3)の発現を増強して毒素の細胞傷害性を増強するとともに,好中球を代表とする炎症細胞の浸潤を引き起こし,炎症を増幅する。このように炎症性サイトカインは,EHEC 感染による出血性大腸炎およびその重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome; HUS),急性脳症の病態形成に重要な役割を果たしている。一方,臨床の現場では,HUS の重症化予防と早期の戦略的治療介入の必要性とともに,治療抵抗例に対する有効な治療法と,適切なモニタリング指標の確立が求められている。本稿では,EHEC 感染症における出血性大腸炎,HUS,脳症の病態におけるサイトカインの役割と,HUS の重症化予測指標としての血清のサイトカインプロファイルの臨床応用の試み,サイトカインの側面からみたアフェレーシス治療の可能性について我々の検討結果を解説する。

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