西アフリカ・カメルーン南部における熱帯多雨林の類型と降水量について

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タイトル別名
  • Tropical Rain Forests and the Annual Rainfall in South Cameroon, West Africa
  • ニシ アフリカ カメルーン ナンブ ニ オケル ネッタイ タウ リン ノ ルイ

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抄録

1. カメルーン南部の森林地帯では, 海岸から内陸部に向かって降水量が激減するという現象がみられる。そこで筆者は, この地域において急激な降水量の減少と森林植生の関係を明らかにするため, 植物生態学的な調査を1984年の9-10月の雨季におこなった。<br>2. 年降水量3,000以上-1,600mmの範囲で森林を調査し, 次のような4つの森林タイプを認めた: 熱帯常緑樹林, 移行林(1), 移行林(2), 熱帯半落葉樹林。<br>3. 各森林タイプと年降水量の関係をみると, 常緑樹林は年降水量2,000mm以上, 移行林(1)は2,000-1,700mm, 移行林(2)は1,700-1,600mm, そして半落葉樹林は1,600mm以下の地域にそれぞれ分布する。<br>4. カメルーン南部の地形は, 海岸低地, 移行帯急崖部, 台地面に分けられる。常緑樹林は海岸低地と移行帯急崖部に, 移行林(1)は台地面の西端部に, 移行林(2)は移行林(1)に隣接しそれよりも内陸部の台地面に, 半落葉樹林は台地面の移行林(2)よりもさらに内陸部にそれぞれ対応する。<br>5. 森林地帯の土壌を調べた。その結果, 常緑樹林と移行林との間で, 土壌の形態的特性 (土壌構造, 土性, 土色, 土壌硬度, A0層の厚さ, 礫の状態) にちがいが認められた。<br>6. 最終氷期の最寒冷期における熱帯低地林の分布域を推察した。カメルーン南部では, 最寒冷期の熱帯常緑樹林の分布域は現在のそれとほとんどかわらず, 現在の海岸からわずか70kmの範囲に常緑樹林から半落葉樹林までが閉じ込められたであろうと考えた。

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