17,18世紀北部エチオピアにおけるエンセーテの食用栽培に関する再検討

  • 石川 博樹
    東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Reconsideration of the Enset Cultivation for Food in Northern Ethiopia during the Seventeenth and Eighteenth Centuries
  • 17,18セイキ ホクブ エチオピア ニ オケル エンセーテ ノ ショクヨウ サイバイ ニ カンスル サイケントウ

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説明

エンセーテ(学名Ensete ventricosum)はアフリカおよびアジアの高地に分布するバショウ科の植物である。この植物は現在でもエチオピアの南西部において広く栽培されており,その根茎部や偽茎に蓄えられた澱粉を食用とするという特異な利用が行われていることが知られている。17,18世紀に北部エチオピアを訪れたヨーロッパ人たちは,この植物が青ナイルの源流域近辺において栽培され,食用利用されていたことを報告している。これらの記述については様々な解釈がなされてきたものの,未解明の問題が多々残されている。そこで本稿では,ゲエズ語史料およびエチオピア王国を訪れたヨーロッパ人の報告に見えるエンセーテ関連記述を再検討することにより,北部エチオピアにおけるエンセーテの食用栽培がいかなる歴史的背景を持つものであったのかという点を考察した。その結果,オロモの進出以前には,青ナイルの南に位置するフィンチャ湖周辺地域にエンセーテを食用とする複数の民族集団が居住していたこと,17世紀から18世紀にかけて青ナイル源流域近辺で見られたエンセーテの食用栽培はこれらの集団と関係が深いことが明らかになった。

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