タカキビの分類学的位置

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タイトル別名
  • Taxonomic Position of "Trochochlamys" praealta (Pilsbry, 1902)(Pulmonata : Helicarionidae)
  • タカキビの分類学的位置〔英文〕
  • タカキビ ノ ブンルイガクテキ イチ エイブン

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説明

タカキビ"Trochochlamys"praealta (Pisbry, 1902)の解剖学的研究を行い, その軟体部の特徴を記載した。タカキビは, (1)鞭状器, 石灰嚢, 陰茎附属肢等の附属器官を欠く単純な雄性生殖器を持つこと, (2)外套縁が突出しないこと, (3)歯舌自体が小さく, I列あたりの歯数が著しく多いこと, (4)中歯が細長く, 両側部が張り出して5歯尖に見えること, (5)側歯が退化的で, 各列あたり1個しかないこと, (6)縁歯は斜めに伸長し, 多数の歯尖を持ち鋸状の外観を呈すること, によって特徴づけられる。本種は, これまで, 貝殻の形態の類似性からカサキビ属Trochochlamysに分類されていたが, これらの解剖学的特徴, 特に歯舌の特徴はカサキビ属ではなく, トウガタシタラ属Coneuplecta(新称)と一致する。そこで, 本種の分類学的位置を, カサキビ属からトウガタシタシタラ属へと変更した。なお, 栃木県出流山から採集されたタカキビは, 全ての個体が, 雄性生殖器系が萎縮する半雄性(hemiphally)の表現型であった。本報告は, Euconulinae亜科において半雄性の表現型の出現を認めた初めての公式な記録となるが, 本亜科では珍しくない現象であると考えられる。ベッコウマイマイ科における半雄性の分類学的意義と問題について議論を行った。また, 広義のトウガタシタラ属が, 歯舌が特殊な形態に収斂したベッコウマイマイ類を集めた人為的な分類群である可能性についても議論した。

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参考文献 (15)*注記

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