書誌事項
- タイトル別名
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- Which Therapeutic Modarity should we Choose for Locally Advanced Carcinoma in Larynx and Hypopharyx, Chemoradiotherapy (CRT) or Trans Oval Surgery (TOS) Followed by Neck Dissection and Postoperative Radiotherapy?
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説明
局所進行喉頭・下咽頭癌に対しては,生命予後を低下させない範囲で喉頭温存を目指した一次治療を行うことが求められる.化学放射線療法(CRT)はその代表的な治療法であるが,治療後に高度な晩期障害が生じて生活の質(QOL)を低下させるとの報告もある.そこで近年ではCRTによる晩期障害を回避すべく経口的切除(TOS)を行う機会が増加しているが,cN+の進行癌に対してはTOSに加えて頸部郭清術(ND)が必要となる.ND後の病理結果でpN2b以上の再発高リスク例に対してはさらに術後放射線療法(術後 RT)を要することが多く,そのような症例においては治療後のQOL低下がCRT後と同等もしくはより高度となる恐れがあり注意が必要である.今回,TOS+ND+術後RTの対象となる局所進行喉頭・下咽頭癌をCRTで加療した症例を抽出し,CRTのみで治癒したか,NDによる救済治療を必要としたか,どの程度局所制御が得られたか,経口摂取等のQOLなどについて後ろ向きに検討し,今後の治療方針決定に役立てることを目的として発表を行う.当院と大阪大学において2007年から2014年までの8年間にシスプラチンを同時併用したCRT症例のうち上記のTOS+ND+術後RTの対象に近いと思われる症例を抽出し,喉頭癌では声門上原発のT1-3N2b-cの12例,下咽頭癌ではT1-2N2b-3の27例について検討した.喉頭癌症例の生存観察期間は12–66ヵ月(中央値 28)であり,一次治療効果判定ではCR率83.3%で,2年累積粗生存率は91.7%であった.下咽頭癌症例の生存観察期間は12–103ヵ月(中央値 44)であり,一次治療効果判定ではCR率78.1%で3年累積粗生存率は76.5%であった.CRT終了後6ヵ月時点で経口以外の栄養手段が必要であった症例は 5ヵ月時点で同時重複した頸部食道癌の根治術を受けた喉頭癌の1例のみであり,CRTで良好な制御を見込めたことと合わせると,TOS+ND+術後RTは術後RTが必要でない症例に適応した方が良いと思われた.
収録刊行物
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- 喉頭
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喉頭 28 (2), 68-68, 2016
日本喉頭科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679328141696
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- NII論文ID
- 130006792068
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- ISSN
- 21854696
- 09156127
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可