高速度カメラによる声帯突起部の観察

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タイトル別名
  • Observation of the Movement of Vocal Cords Arytenoids by High-speed Digital Camera

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説明

<p>【はじめに】臨床において声帯の高速度撮影の有用性を検討すると,ストロボで観察される周期よりもさらに短時間の変動がありその異常が“平均化”され原因が明らかにならない場合が考えられる.また声帯振動一周期の中で起きる変動の順番を正確に観察するには高速度カメラによる観察が有効と考える.我々の経験した症例の中には反回神経麻痺例による声帯粘膜様部開大位が一周期ごと異なり同時に披裂部が周期毎に位置が異なることがあることを確認している.これらは高速度カメラだからこそ確認できた声帯運動異常と考える.さらに,これらの観察から声帯膜様部方向と披裂軟骨声帯裂突起の位置関係と確認すると必ずしも一致している訳で無いことが確認した.このことは声帯膜様部の振動制御に披裂軟骨声帯突起の向きが関係していること示唆していると考える.我々は高速度カメラのみで確認できるこれらの声帯振動異常所見に対し披裂軟骨の関わりを明らかにしたいと考える.</p><p>【方法】対象は正常及び声帯結節,反回神経麻痺例.撮影は斜視硬性喉頭鏡に高速度カメラを接続し撮影を行った.発声は座位で観察,音声が安定部位を採用した.高速度カメラ撮影時期により,Photron社FastcamPCI,128 × 120pixel 3000FPS,ブレインビジョン社MiCAM Brainvision-CMOS 94 × 40pixel 3333FPS,ディテクト社HAS-L2 192 × 160pixel 3000FPSで撮影.振動が安定部を採用,同時記録した音声機能検査結果と合わせ検討を行った.</p><p>【正常結果】46才男性.fry発声の時,背板膜様部と声帯突起の向きは異なり,膜様部開大位において声帯突起は内側を向いて角度を有したいた.楽な発声では開大のみ膜様部と声帯突起とのわずかな屈曲を認めた.頭声では膜様部辺縁と声帯突起の関係はどの周期でも直線状であった.疾患群を含め詳細を報告した.</p>

収録刊行物

  • 喉頭

    喉頭 28 (2), 55-55, 2016

    日本喉頭科学会

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