オーストラリア・ニュージーランドに生息する Xenostrobus securis コウロエンカワヒバリガイ Limnoperna fortunei kikuchii(二枚貝綱, イガイ科)の日本への移入

書誌事項

タイトル別名
  • Limnoperna fortunei kikuchii Habe, 1981 (Bivalvia : Mytilidae) is a synonym of Xenostrobus securis (Lamarck, 1819) : Introduction into Japan from Australia and/or New Zealand

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説明

イガイ科カワヒバリガイ属は日本ではカワヒバリガイLimnoperna fortunei fortuneiとコウロエンカワヒバリガイL. fortunei kikuchiiの2種類が知られている。カワヒバリガイは1990年代に日本の淡水域に移入した。一方, コウロエンカワヒバリガイは波部(1981)により記載された内湾汽水域に分布する亜種である。これらは形態やアイソザイムなどが明らかに異なり, 両者を亜種として扱うのには問題があるとされてきた。今回, コウロエンカワヒバリガイの殻や内部形態の比較を行い, 本種がクログチガイ属Xenostrobus属の特徴である腸の右旋を持つことが明らかとなった。クログチガイ属は現在7種が知られている。現在日本に生息するクログチガイ属としてはクログチガイX. atratus 1種が知られている。これらの外部内部形態を比較した結果, コウロエンカワヒバリガイはオーストラリアとニュージーランドに生息するX. securisに特徴が一致した。さらにコウロエンカワヒバリガイとX. securis間で相対成長とアイソザイム分析の比較を行った。その結果, 相対成長はコウロエンカワヒバリガイとX. securis間で異なっていたが, それぞれの種内の地点間においても統計的に有意な差異が認められた。アイソザイム分析は, 10遺伝子座が確認され, 対立遺伝子の置換は認められなかった。形態およびアイソザイムにおいて高い類似性を示すことから, コウロエンカワヒバリガイに対して用いられてきた学名L. fortunei kikuchiiはX. securisの新参シノニムであり, オーストラリアかニュージーランドから日本に移入したと考えられる。

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