モリブドリン酸アンモニウム沈殿の水晶発振子への付着を利用するリン酸イオンのフロー分析法の開発

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書誌事項

タイトル別名
  • Determination of phosphate ion by adhesion of a precipitate of ammonium phosphomolybdate onto a one-electrode-separated piezoelectric quartz crystal in a flow system
  • モリブドリンサン アンモニウム チンデン ノ スイショウ ハッシンシ エ ノ フチャク オ リヨウ スル リンサン イオン ノ フロー ブンセキホウ ノ カイハツ

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抄録

フロー系において,硝酸アンモニウムを含む硝酸溶液中でリン酸イオンとモリブデン酸イオンの反応によりモリブドリン酸アンモニウム沈殿を生成させ,沈殿を片面電極分離型水晶発振子の水晶振動子上に付着させた.この沈殿付着による水晶発振子の振動数変化を用いてリン酸イオンを定量するフロー分析法を開発した.モリブドリン酸アンモニウムの沈殿付着は,水晶振動子の表面状態に非常に強く影響された.すなわち,清浄な表面の水晶振動子では,振動数の時間的変化量は小さく,その再現性も悪かった.しかし,あらかじめ適当量のモリブドリン酸アンモニウム沈殿を付着させた水晶振動子では,振動数は良い再現性で時間にほぼ比例して変化した.これらの振動数変化量の挙動は,清浄な振動子表面には沈殿が付着し難く,あらかじめ沈殿を付着させた振動子表面には沈殿が容易に付着することを示す.リン酸イオンの定量に対する最適条件を決定するために,あらかじめ沈殿を付着させた水晶振動子を用いて,硝酸アンモニウム,硝酸,モリブデン酸アンモニウムの濃度,溶液の流量,反応コイルの長さ及び妨害イオンの影響を検討した.検討した条件を基にリン酸イオンを定量したところ,10分間の付着時間では0~10 μmol dm-3の濃度範囲において相関係数が0.99以上の検量線を作成することができた.また,5 μmol dm-3のリン酸に対する相対標準偏差は3.3%(n=8)であった.実試料として河川水と湖水を用い,リン酸イオンを検量線法と標準添加法により定量した.標準添加法による定量値は,吸光光度法(リンモリブデンブルー法)の定量値とほぼ良い一致を示したが,検量線法による値は,吸光光度法の値に比べ相当小さかった.以上のことから,水晶発振子を用いる本法は標準添加法を併用することで,河川水や湖水中など環境水中のリン酸イオンの定量に適用可能であると考えられる.<br>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 53 (5), 419-427, 2004

    公益社団法人 日本分析化学会

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参考文献 (39)*注記

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