外洋海水中の生物活性微量金属の一括定量法の開発と国際相互校正への適用

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タイトル別名
  • Development of the Multielemental Determination Method for Bioactive Trace Metals in Open Ocean Seawater and Its Application to International Intercalibration
  • ガイヨウ カイスイチュウ ノ セイブツ カッセイ ビリョウ キンゾク ノ イッカツ テイリョウホウ ノ カイハツ ト コクサイ ソウゴ コウセイ エ ノ テキヨウ

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抄録

生物活性微量金属(bioactive trace metals)は,生物にとって必須又は毒性の高い元素を指す.海洋環境において特に重要な生物活性微量元素は,Al,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Cd,Pbである.これらは,一般に海水中で数十nmol kg−1以下の微量成分である.従来の分析法では,目的元素の汚染混入(コンタミネーション),主要成分による妨害,不完全な回収率(特にAl,Mn)が問題であった.著者らは,固相抽出-誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法に基づく9元素の分析法を開発した.本法では,エチレンジアミン三酢酸基とイミノ二酢酸基を有する新しいキレート吸着剤を充填したカラムを閉鎖式濃縮系で使用した.本法により,9元素すべてを海水主要成分から分離し,定量的に同時濃縮することが可能となった.Mn,Co,Ni,Cu,Cdの操作ブランク値はICP-MSの検出限界(1 mol L−1硝酸をICP-MSで測定して得られるバックグラウンドの標準偏差の3倍)以下であったが,Al,Fe,Zn,Pbでは操作ブランクが検出され,それぞれ0.14,0.03,0.07,0.003 nmol kg−1であった.また,8倍濃縮時の検出限界は,Al,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Cd,Pbに対して,それぞれ0.24,0.01,0.04,0.002,0.01,0.01,0.06,0.01,0.001 nmol kg−1であった.本稿では,この分析法の開発と,外洋海水を用いる国際相互較正に本法を適用した結果について概説する.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 59 (12), 1087-1096, 2010

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (39)*注記

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